【その22】 賃金の低さによる技能者不足が深刻に
「労働力が不足しているにもかかわらず、賃金が減少する」という需給メカニズムの崩壊が、技能者不足問題を引き起こす要因になっている。
建設業界では従来、現場の技能者が不足すると賃金も上昇していた。その結果、入職者が増えて需給調整が進むというメカニズムが働いていた。
しかし、工事の受注競争が激化するあまり、受注額は上がるどころか下がり続け、技能者が不足しているにもかかわらず賃金が減少するという状況が生じている。こうした需給調整メカニズムの崩壊に、団塊世代の大量退職や少子化による若年層の減少が追い打ちをかけ、現場の人材不足が深刻化している。
この間、日本建設業団体連合会がまとめた技能者の確保・育成に関する実態調査結果の報告書によると、若年者が建設産業に入職しない理由や職を離れた理由は「賃金の低さ」が他を圧倒してダントツのトップ。また、その割合が他産業に比べ非常に高いことも分かった。技能者の収入を、他産業と見劣りしない水準に底上げしなければ、慢性的な労働者不足に陥る可能性が高い。
技能者の低賃金化は、ゼネコンが進めた下請企業の育成・責任施工による分業体制の確立とも関係が深い。建設業界では、ゼネコンが工事全体をマネジメントし、1次下請が施工を管理、2次下請以下が労務を担うという重層構造が一般的。技能者は専業化した2次下請以下の企業に所属し、同時に技能職種の細分化・専業化も進行している。
こうした生産体制は、工事量が多い時期には生産性向上と技能者の収入増につながるが、工事量が減少すると生産能力が過剰になりやすく、専門工事業者が低価格で仕事を奪い合う状況を生み出すと同時に、技能職種の細分化・専業化で「専門工種以外の作業ができない」技能者が育ち、結果的に年収の低下を引き起こすことにつながっている。 |