●第25回 技能グランプリ−兵庫大会

埼玉土建代表3選手

健闘するも一歩届かず、惜しくも入賞逃す!

 
  3月20〜23日にかけて兵庫県神戸市で開催された「第25回技能グランプリ」は、開催以来二度目の地方大会となりました。
技能グランプリは、一級技能士以上の有資格者でたたかわれる、事実上日本一の職人を決める競技大会であり、今大会には31職種に全国から554名の選手が参加し、全体参加者数としては過去最大の大会となりました。
 埼玉土建からは、建築大工職種に猪股正吾選手(熊谷)、多比良和矢選手(深谷寄居)、福島教仁選手(深谷寄居)の三選手が埼玉県の代表選手として出場しました。建築大工の競技には、22都道府県から50名の選手が参加し、第3回大会に次ぐ参加規模となりました。
 
  今回の課題は「振れ隅木、振れたる木小屋組の一部」で、原寸図作成・部材の削り・墨つけ・きざみ・組立ての順に進められ、十時間の制限内で技能を競います。
20日、開会式当日は晴天に恵まれ、これから行われる二日間の熱い戦いを予感させる暑い一日となりました。開会式前には会場入りし、競技場所の抽選と競技説明が行なわれ、選手達は入念に材料と道具のチェックを始め、競技前日から戦いは始まっていました。
 21日、競技初日は気温も下がり、選手にとっては絶好のコンディションの中、選手の緊張も最高潮に達したところで競技がスタート。前夜と早朝にも宿泊先で図面の練習を重ねた三選手は順調な滑り出しを見せ、開始50分頃には図面作業を終え削り作業へ。
 昼食休憩を挟み講師陣から的確なアドバイスを受け墨つけ作業へ移りました。墨つけは、全部材に対して図面と同様に検査を受けます。ここまでの作業(図面・削り・墨付け)が、勝敗の行方を大きく左右すると言われています。三選手は手応えを感じながら、きざみ作業へと移りました。
 競技初日の6時間45分にも渡る作業を終えると、さすがに疲れを隠せない様子でしたが、和田智一講師(ふじみ野)から各選手には明日に向けての対策や注意など細かな指導が送られました。
 
  22日、競技二日目は前日のきざみ作業の途中からの作業再開です。講師陣は「残す時間は三時間十五分、悔いの残らぬたたかいを」と選手の肩をたたき会場内へ送り出します。グランプリでは、組立作業でカンナ、ノミ等の刃物が一切使えないため、きざみ作業が完成品の出来栄えを決めることもあり、慎重かつ正確に作業を行います。
競技終了まで40分位を残した頃、各選手は工具を片付け、いよいよ組み立て作業に。最後の仕上げ作業とあり観戦者の数も増え、応援に駆けつけた猪股選手の両親、グランプリ出場を目指す野ア直人さん(さいたま北)、昨年の全国青年技能競技大会で奨励賞を受賞した町田将士さん(深谷寄居)と講師陣が一緒になって祈る思いで見つめます。
組み立て作業も終盤に差し掛かったところで、福島正雄講師(深谷寄居)は選手の手が一瞬止まったことに気づきます。練習では考えられなかったことが起きてしまいました。代表選手は三者三様のアクシデントを抱えながらも、制限時間一杯で無事に作品を完成さることができました。
  競技会場を後に宿泊先に戻る頃、選手の悔しい気持ちを代弁するかのような激しい雨に見舞われました。

▲左から、 多比良和矢選手(深谷寄居) 、 福島教仁選手(深谷寄居) 、 猪股正吾選手(熊谷)

 
  最終日、閉会式の開場とともに発表される結果を見て、一喜一憂する姿は何度見ても心を打たれます。埼玉土建の代表三選手は惜しくも入賞には至りませんでしたが、年明けから毎日図面の練習を欠かさず、一ヵ月間仕事を休んで共に練習を積み重ね、埼玉土建の名を背に本当に頑張ってくれました。また、競技に臨むその姿は神戸市民に多くの感動を与えたことと思います。
この悔しさをバネに、次回のグランプリへ挑戦することを誓い合い帰路に就きました。